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やっぱり気合いです <strong>PART 3</strong>
beyond worker 004
 2013,08,06

やっぱり気合いです PART 3

台湾のU-TOWNでは、二進法というデザインコードを提案しました。なぜ二進法かというと、クライアントの遠雄建設という会社の趙社長は経済誌『フォーブス』の富豪番付にも載るような人です。最初は小さなラウンジの仕事をやってみないかと担当者からお願いされたのですが、どうせやるんだったらプロジェクトのコンセプトごと全部考えて「自分達ならこうやる、という案を持って行くべきだ!」と。その案を社長に見せたら「面白い男だな」という感じになって、じゃあ全部考えたらどうなるのか一度プランを作ってみてくれと依頼されたんです。

社長の「うちの会社には自社のデザインというものがないんだ、鄭さん」という話から始まって、「それはアイデンティティの話でしょ、社長!」と。彼は元々漢民族で客家(はっか)という流浪の民がルーツで、台湾に移り住んだ一族の出身なんです。型枠大工から仕事を始めて、一代の叩き上げでここまでの会社にした。陰と陽という思想を作ったのは漢民族らしいのですが、それが二進法になって、コンピューター言語になって、台湾が今コンピューターの世界の工場になっている、だからそれをデザインコードにしたほうがいいというストーリーをプレゼンしたら、社長が大いに感動して。

そんな話はデザイナーの口から聞いたことがないと言われましたね。だいたい持って来られるのは「こんなかたちはどうですか?」というバリエーションの提案ばかりで、社長が「ここが気に入らない」と言えば、そこを修正してさらに「どうですか?」と見せる。あんたはそういうことしないね、とすごく仲良くなってかわいがってもらっています。日本だと普通はこんな大きなプロジェクトを任せてくれないですよ。
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日本でいうとミッドタウン並の規模です。この都市計画は20年前から検討されていて、そのために社長は道路や鉄道を通したり住宅地を作ったり、そういう交渉を台北市と続けてきたんです。しかし年齢も70歳を超えて引退も近づいた時に、自分が語れる仕事があるか? 物件としては数多くあるけれど、台湾の代表として後世に語れるデザインのアイデンティティが弱いと気付いたんでしょうね。そういう時期にうちが案をバコーンと出したんです。

社長に20年間についてきた陳さんというお抱え建築家は大反対でした。最初は僕たちが行くたびに無理難題を押し付けてきて非協力的だったんですが「陳さんの気持ちも分かります、しかしプロジェクトとしてみんなでやるわけだから、一緒に乗り越えていきましょうよ」と。今では仲良くなって、着工の時には抱き合って喜びましたね。そこは紳士にやりますよ。デザインもチームでやるという意識がありますから。 

−−−今までのお話を聞いていると、鄭さんの仕事の奥底に強烈な反骨精神を感じます。

そうですか? 意識はしなかったけど、やっぱあるのかな。家のルーツとか、育てられ方もそうだった。特殊かもしれませんね。一番になれというよりは、個性的な何かを持つように親から言われて育ちましたから。在日ですからね。日本人とお前が同じ点数だったら日本人の方を取るけど、それは差別でもなんでもなくて、ここは日本だから普通なんだと。そういう話を小学校の3、4年の時から聞かされていると、ユニークな存在になるのがいいのかなと、意識の中に染み付きますよね。

−−−僕らの方もなんだ気合いが入ってきたような気がします。今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!
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<Farglory U-Town 2014 retail store/office/museum>

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