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大企業だけが会社じゃない、自分の生き方と働き方を探す旅
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 2013,04,01

大企業だけが会社じゃない、自分の生き方と働き方を探す旅

様々なフィールドで「Beyond Working」を実戦するWORKERたちをご紹介。
自由な働き方がしたいと憧れる人は多いと思う。しかし、いま勤めている会社を辞めるとどうなるのか?
せっかく苦労して就職活動をして入った会社を簡単に辞めてもいいものか? 
会社を辞めて失敗するともう後戻りできないのではないか? 
そんな葛藤を抱えながら働いている人は多いのではないでしょうか。
今回のbeyond workerはそんなモヤモヤした状況から一歩踏み出したばかりの佐々木文人さんです

Beyoud編集部、以下B)いままでどのような仕事をなさっていましたか?

佐々木さん、以下S)今年の10月まで約4年間ボストンコンサルティングという会社で、主にクライアント企業の営業改革や組織改革のコンサルティング業務に携わっていました。営業マン一人あたりの売り上げをアップするにはどうすればよいか? 会社の組織を改革する際にどのような組織が最適か?各部署の適正人数はどの程度か?など企業の事業課題を分析してそのための解決案を提案する仕事です。その前は日本資本の大手損保会社で3年半勤めていました。

B) 世間的に見ると評価の高い一流企業で7年半も働いて、捨てるものが大きいのでは? 迷いはありませんでしたか?

S) 損保から外資へ転職したときに、大きくキャリアを変えているのでそこで一旦リセットされた感じがあります。転職先のコンサルティング会社は3~4年働くとみんな辞めていく。辞めた後の行き先も、大企業に転職する人もいれはベンチャー企業に行く人、起業する人もいます。そういう先輩たちを見て、逆にどんな働き方でもいいんだな、自分にも自由な選択肢があるんだなと思うことができました。最初の会社は日本の大企業でそこに所属さえしていれば、定年までの安定した生活が見えていた。最初の転職時は会社を辞めるまで迷いもあり、捨てるものが大きいと感じていたけれど、今回はそのような迷いはありませんでした。

B) やはり一社目の大企業は辞めづらかった?

S) もともと何十年も会社にいるつもりはありませんでした。3~4年経ったら違う方向に行きたいと思っていました。僕が就職活動をしていた2004年は、いわゆる氷河期から徐々に回復基調にあった時期。前の年は新卒入社が100人、僕らの代で160人、次の年は190人に増えてきていました。
そのまま会社に留まっていれば安定した生活が送れたかもしれない。ただ一方で、10年間その会社にいたとして、いざ社外に放り出された時に自分が何ができるのかを考えました。しかし、その時会社の外で活躍できている自分を想像できなかったんです。「生活の安定」と「社外でも通用する自分」それらを天秤にかけた結果、辞める道を選びました。あらかじめ転職活動をして転職先は決まっていたけど、不安じゃないと言えば嘘になるかもしれない。次に転職した会社でうまくいかなければ、その先に行く場所がなくなっちゃう、会社が決まってたけど不安でした。

B)日本の大企業から外資系コンサルへ、どんな変化がありましたか?

S)全然違いましたね。一番大きな違いは、損保にいた時は言われた事をそれなりにやっていれば、それなりに評価されて、それなりに昇進が見えていた。しかし、転職した外資系コンサルでは言われた事をやっているだけだと「お前は言われたことしかやらないね」とマイナスの評価になってしまう。言われたことの一歩先まで自分で考えて自分でやらないといけない。そこが働きかたの大きな違いですね。
その会社では、入社してから5~6年くらい経ってプロジェクトリーダーになるようなキャリアパスがあるのですが、30歳までには一回辞めて別のチャレンジをしたいと思っていた自分と、入ったからにはプロジェクトリーダーになってマネジメントまで経験したいと考える自分もいました。辞める前まではその葛藤がありましたが、結婚をきっかけに、去年の年末に辞意を伝えました。最後の出社は9月頭です。

B)何と言って辞めたのですか??

S)「結婚します、一年間旅行に行ってきます。」と言いました。「会社はどうするの?」と聞かれましたが、「卒業します。」と。そのコンサルティング会社には日本に約300人社員がいたのですが、中には、一旦卒業したのち、別のキャリアを経て戻ってきた人もいました。旅行に行って戻って来たり、他の会社に行って戻って来た人、自分で会社を経営して戻ってきた人、旅行に出て戻って来た人もいる。会社としても「多様性からの連帯」を掲げており、様々なキャリアの人がいるので、一旦卒業することに対して、上司もある程度は寛容なのだと思います。
パートナーの5、6人にも話をしましたが、前例があったこともあり「お前もか」という反応でした。彼らは大きく2つの感情を持っていたと思います。個人としては「いいな、うらやましい」という気持ち。一方オフィスの経営者としては「おいおい、なんで留学じゃなくて旅行なんだ? もう一度考えた方がいいんじゃないの?」という気持ちです。最後は決めたんだったらやれば、というところで送り出して頂いたと思っています。

B)会社を辞めて旅行にいくのは、一般的に見てキャリアダウンになるのでは?

S)一般的にはそう見えると思います。「留学すればいいのに」というアドバイスもいただきました。ただ、このまま昇進を目指したり、留学するというキャリアには、あまり魅力を感じませんでした。僕としては、少し旅に出て「寄り道」をしたほうが、人として厚みが出ると思ったし、人生として楽しいと考えたんです。
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B)世界旅行の目的は何ですか?

S)将来に繋がる何かを見つけたいと漠然と考えています。ずっと考えているのですが、1つは単純に「世界を見たい、人とつながりを持ちたい。」という事です。日本に来たい外国人や、日本人が海外に行くきっかけを繋げられればと漠然とイメージしていますが、はっきりとした目的は今のところありません、もやもやしてますね。外資系企業で海外の人とも仕事をして、日本に閉じこもってる自分がいやだったんです。グローバルに活躍できる人間になりたい、そのためにはもっと世界を見ておきたい。

B)学生時代に旅はしましたか?

S)ぽつぽつと短期の旅行はしていましたが、長期間の旅行はしておりませんでした。大学4年の時タイ旅行に行ったのですが、そこで6ヶ月間の新婚旅行に来ていたオーストラリア人夫婦と出会い、そんな生活もアリなんだなという気付きをもらったんです。自分もやりたい、と思いました。しかし、学生時代はまだそこまで踏み切れなかった。日々の生活は楽しかったし、卒業後は普通に仕事はしないといけない。大学時代に道を外れて1年間旅をするという自信がなかった。そのまま、普通に就職活動して働くことを選びました。就職活動をしながら、自分の何を見られているのかよく分からない中でやって、よく分からないまま採用され。。。仕事とは何かをよく分かってないのに、面接では「私はこんなことできます」とか「御社ではこんなことをしたいんです。」とか言ってる学生達を見て、そんな就職活動に違和感を感じていました。自分はずっと企業の中で働くのではなくて、いずれは独立して何かをやっていきたいという思いがありました。まずはどこか企業に入って経験を積んで、それから自分の道を選んで進んでいきたい、と。そうした中で、タイミングを見つけて世界旅行に行ければ素敵だなと思ってました。

B)東京大学を卒業し、大手企業に就職して外資系コンサルティングに転職、一般的に見てとても華やかなキャリアを歩んで来られたように見えるのですが、逆に世の中を見る暇がなかったのでしょうか?

S)これは一つの自分の反省ではありますが、見る機会をあまり自分で創ってこなかったのだと思います。僕は愛媛で生まれて3歳で横浜へ、中学から都心の学校に進み、サッカーをやりながら生徒会活動や文化祭実行委員会の活動をして、高校3年生では受験勉強。大学ではテニスサークルに入って、大学生活を楽しみながら、周りの同級生達と同じ様に就職活動をして、就職、転職で今に至る、という感じです。大学に入るまでは勉強して受験していい大学に入り一流企業に就職する、そういう価値観に疑問は持っていませんでした。
大学受験する時にふと、大学に行かずにそのまま働くという道もあるのかな、と思った事もありますが、深くその道を考えるということはありませんでした。大学って具体的に何かが身に付くという場所なのか当時は理解していなかったし、何のために大学に入るのかという疑問も感じました。だけど結果的に大学に行かないと就職先も見えて来ないし、周りもみんな受験してるし、違う選択肢に向かって強く動くことができなかったんです。高校時代は250人同級生がいて、ほとんどみんな大学へ行きました。一人でも大学を辞めれば「変わった奴もいるな」とその噂が一気に広がる。そういう雰囲気もあったのかもしれません。
就職活動の時期になると周りの友達も意識が変わってきて「働くってなんだろう」「どんな業界で働きたいのか」を自分も考えるようになり、なかなかその答えを見つけることができませんでした。どの業界に行ってもそれなりに楽しめるし、やっていけそうな気もするけど、一方で1つの働き方に絞れない自分もいた。自分はストレートで大学に入って大学院にも行かずに就職して寄り道せずに今まで生きてきたので、逆に大学を浪人していたり留年したり、大学院に行ってたりという人の方におもしろさを感じます。寄り道することへの憧れもあるのかもしれませんね。
転職してからコンサルタントとしていろんな人と仕事をしていく中で、「仕事を選ばなければ、喰いっぱぐれることはないんだろうな」と思う事ができるようになった。それが今回の決断にあたって背中を押してくれました。仕事の中で、地力も身についてきたと思うし、いろんな会社や働き方を見る事ができたので。

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