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自分に合ったやり方で、やる <strong>PART 1</strong>
beyond worker 003
 2013,04,01

自分に合ったやり方で、やる PART 1

『Spectator』、日本語に訳すと「目撃者」という名前を持つ雑誌がある。
いわゆる商業誌が扱わないような、ディープなカルチャー、冒険と実践をする人たち、新しいライフスタイルに関する情報を地に足の着いたリアルな目線で伝える。
ページを開けばB5判の中に詰め込まれた文字と図版が強烈なメッセージを放っている。
その『Spectator』編集部が2011年の夏、東京をbeyondして長野に移転した。
東京から地方へ拠点を移した理由と新しい地での『Spectator』流の働き方について編集長の青野利光さんから話を聴くため、関越道を北へ、車をぶっと飛ばした。

−−−なぜ長野だったのでしょうか? 東京を離れて長野に事務所を開かれて、新しい働き方を始めたんだなという印象を持ちました。

長野市は善光寺というお寺があることで知られる人口三十万ほどの都市で、長野県の県庁所在地でもあります。善光寺の参道には土産屋や宿が軒を連ねていて風情があるんだけど、ここ数年のあいだに、その参道の裏道の物件を安い賃料で借りて商売を始める若い人が増えています。シャッターが閉じていた店舗や古い蔵を改装してレストランや雑貨店が、この一年半のあいだに少なくとも7、8軒オープンしている。

長野市の商業エリアの中心である長野駅周辺で店をやろうとしても、そこは家賃が高いから小さい資本では商売をはじめにくい。そこで中心からは離れているけれど家賃が安い参道の裏道で商売を始めようという人が増えているんです。善光寺の門前で不動産業を営んでいる男性が空き家になっている物件の所有者と直接交渉して、店を開きたいと思っている人達に安い賃料で貸すということをやられていて、それがきっかけで新しい商売が生まれています。

ちょうど次の号で「小商い」という特集をやる予定なんですが、小商いを始める若い人たちが長野でも増えているんです。「小商い」というのは、昔の駄菓子屋さんみたいに多くの儲けを狙わずに、小資本で開業できる小さな規模のビジネスですよね。自分達で商品を作ったり、販売したり、小さな規模で今までにない商いをやっている人たちを取材しています。これもあたらしい働き方というか、新しい仕事のあり方というか。突き詰めると新しい生き方ですよね。

周りに小商いをやっている人はいませんか? コーヒースタンドとか、フードトラックとか。僕の周りでは個人で小さい商売をはじめている人が増えているような気がします。
今回取材させてもらった一人に、新宿区の四谷で古い物件をリノベーションして、キッチン付きの30帖くらいのスペースを貸し出している男性がいて、要するにレンタルキッチンスペースを運営されているんだけど、そのスペースが注目を集めているんです。ホームパーティをやりたいけど、東京ってそういう場所がなかったりするじゃないですか。ワンルームだと5~6人も入ればいっぱいになってしまう。ワークショップや誕生会の会場を探していたという人たちのニーズを上手くつかまえて成功している例だと思います。
ほかにも週に3日だけジャマイカのチキン料理を販売している人とか、レンタルサイクル屋さんとか。ただモノを売るたけじゃなく、新しいニーズとか付加価値に注目して商売をしている人たちを取材して紹介しようと思っています。特集の主旨を人に話すと、「小商い」という言葉にはみんなも興味があるみたいですね。

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