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自分に合ったやり方で、やる <strong>PART 2</strong>
beyond worker 003
 2013,05,29

自分に合ったやり方で、やる PART 2

−−−『スペクテイター』の編集以外では、どんなお仕事をされていますか?

アウトドアブランドやセレクトショップのカタログ編集を請け負うこともあります。商品情報だけを掲載するカタログにコンテンツがほしいというクライアントの要望に応えて、僕らが企画を考えて取材をして、ちょっとした雑誌のようなカタログを作成したり。いわゆる編集プロダクション的な仕事ですね。

−−−全体の仕事の何割くらいですか?

年によってもまちまちですが2割ぐらいですかね。昨年はクライアントのための編集仕事のほかにイベントの演出なども請け負いました。小さな子供が乗るペダルがついてない自転車のイベント会場の演出のような仕事です。

−−−知ってます! 知り合いの子供がすごく熱中していて。

その会場でワークショップや模擬店舗などをオーガナイズして、子供が遊ぶためのゾーニングをやりました。
そういった仕事もこれまでは2人でやっていたんですが、今年からメンバーが増えて三人体制でやっていくことになりました。

−−−スペクテイターを創刊するきっかけを教えてください。

スペクテイターの前に『Bar-f-Out!』(バァフアウト!)という音楽雑誌の創刊に携わりました。僕が大学在学中の93年に仲間と三人で創刊したインディ雑誌ですが、ちょうど渋谷系と呼ばれるような音楽を主に扱う内容でした。

−−−オリジナルラブとか、ラブタンバリンズとか、カヒミカリイとか、憧れていました。

渋谷のマンションの一室を間借りして編集作業をしていました。バァフアウト! は徐々に人気が出て、レコード会社の発売広告も入るようになって、社員が10人くらいになって、それなりの売り上げと規模の会社になったけど、僕はもともとミュージシャンのインタビューとかも得意じゃなかったし、どちらかというと今のスペクテイターの記事になっているような「その他」というか「街ネタ」みたいなことに興味があったから、じゃあ自分の好きな雑誌を作ろうということで99年にスペクテイターを創刊したんです。
その会社で4号まで出してから結局その会社を辞めて自分の会社をおこしたわけですが、広告の力に依存しないで、サブカルチャーや旅など自分が興味のあることを取材して記事を書くという直球勝負なスタンスの雑誌を自分の手でつくって世に問いてみたいみたいと考えていたんです。

そういう雑誌って実は世の中にあまりないし、結局「ヒモ付き」の雑誌が多いじゃないですか。どこかの企業のタイアップ記事だったり、何かを売るための記事だったり。僕は広告を作るのも好きだけど、それを雑誌の中で、いかにも編集部が自主的に取材した記事のように見せかけてやることには抵抗があったんですよ。タイアップは一切やらずに、ガチでやろうと決めて創刊したんだけど、最初は知名度も無いから本も売れないし、タイアップもやらないから広告も入らない。いろいろ試行錯誤を積み重ねてようやくなんとかなってきたんだけど…。

スペクテイターを創刊したきっかけのひとつに、スペクテイターを始める前に仕事でヨーロッパに行く機会が多くて、向こうのクリエイターと仲良くなったんですが、彼らが関わっていた雑誌に触発されたという部分も大きいと思います。当時、『i-D』や『THE FACE』という既にエスタブリッシュされたストリートマガジンの次世代の雑誌、例えばパリの『PURPLE』(パープル)とかロンドンだったら『DAZED & CONFUSED』(デイズド・アンド・コンフューズド)という雑誌が注目を集めていて、その雑誌の担い手である自分と同世代の連中に見せても恥ずかしくない、東京発のカッコいい雑誌を作りたいという思いがあったんです。ストリートにノンフィクションやジャーナリズムの要素を足した「ストリートジャーナリズム」という感じのメディアを興したいと思って始めたんですよね。

−−−版元は幻冬舎さん?

版元は弊社で幻冬舎は発売元ですね。書店への流通をおねがいしています。本の製作にかかる経費は弊社で捻出して、流通してもらった本の売上げのうちの数パ−セントを幻冬舎にお支払いしています。弊社みたいな小さな版元が本の問屋(取り次ぎ)と契約するのは簡単なことではないので、そこを幻冬舎に請け負ってもらっている感じです。

−−−これからもスペクテイターはやりたいことをやっていく?

そうですね。年に3冊を発売するのが当面の目標です。今までは2冊を目標に、でも実際にフタを開けたら年に1冊しか出せていなかったときもあって、それではさすがにお金が回らないので。今年からはスタッフも増えたので年に3冊、できれば4冊くらい出したいですね。

−−−年に4冊くらい出てほしいというのが個人的にはあります。

ありがとうございます。書店さんも発売の直後は良い場所に平積みしてくださるけど、さすがに3ヶ月以上も同じ場所を占領するわけにもいかない。せめて3、4ヶ月に1号のペースだったら同じ場所をキープしてもらえそうですが。まぁ、でも焦って編集して中途半端なものを出してもしょうがないから、中身を優先したいと思っています。

これまでは二人で全ての作業をおこなっていたので年2冊が限界でした。配本や書店営業もしなきゃいけないし、気持を切り替えるのにも時間がかかる。それに、次の号の特集を考えるうえでも自分の中に沈んでいるテーマを探っていって、その考えを熟成させて言語化するまでに、どうしても3、4ヶ月はかかるんです。今年はスタッフが増えたので、そのぶん他の仕事をやったり、スペクテイターのコンテンツを一つにまとめた単行本も出したいと思っています。

−−−一冊で一つのテーマをより掘り下げて単行本に?

そうですね。単行本の出版は前からやりたいと思っているんだけど、雑誌を作りながらだとなかなかできなかったんです。内容についてももちろんだけど、どのようにして販売するかについても腰を据えて考えなければいけないと思うので。
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