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自分に合ったやり方で、やる <strong>PART 2</strong>
beyond worker 003
 2013,05,29

自分に合ったやり方で、やる PART 2

−−−私も拠点を東京から地方へ移したいと思うこともありますし、そういう人がたくさんいる気がします。アウトドアや自然のある環境に移りたい人もいれば、3.11がきっかけで実際に移った人もいます。働き方として、東京を拠点にしなくてもやっていける気がしますが、実践されていかがでしょうか?

働く場所を自由に選べるかどうかは職種や自分の置かれた状況にも依ると思うし、誰もがそうするべきだとは思いません。それができないことで自分を責めるのも良くないし、あまり突き詰めすぎると病気になっちゃったりもする。そもそもノマドとか移住って流行っているからやるもんじゃないし、いまの自分にあった働き方を考えてみるのがいいんじゃないですかね。

−−−自分でそこまでして行きたいとなれば、そこで何かできることを考えるとか。

地方は都心にくらべたら人口も少ないわけだから、移住しても仕事が簡単に見つかるわけでもないし、むしろ地方で仕事を探すのは難しいと考えたほうが良いと思います。自分がどんな生活をしたいか。何が必要で、何が不要か。お金の価値についてとか、まずはそのあたりについて考えてみるところから始めてみたらいいんじゃないでしょうか。東京でしか暮らしたことがない人は地方の閉鎖的な空気に驚かされるかもしれないし、逆に地元の人の暖かさに触れることができるかもしれない。とにかく焦らず流行に乗らず、気になる場所があれば少しづつ近寄ってみるっていう気持ちが大事だと思います。

−−−青野さんご自身、一度は就職をしたことがありますか?

大学を卒業してから2年間は一般の企業に勤めた経験があります。総合商社の社員として電車に揺られて会社通勤していました。

−−−同時進行で『バァフアウト』をはじめられて?

ええ、大学の3年の頃にバイト先で知り合った友達と作ったクラブイベントのフライヤーを兼ねたフリーペーパーが僕の出版人生の始まりなんですよ。自分たちで切り貼りして作った版下を藁半紙にコピーで刷って、それをクラブやカフェに配って置いてもらったり、そのうち短いコラムを書くようになったり、印刷屋さんで印刷してもらうようになったり。でも、そうやってせっかく一生懸命つくったフリーペーパーでも、手にとってくれた人がどんなふうに読んでくれているか判然としないんですよね。ある日、クラブのゴミ箱にドカっと捨てられているのを発見して落ち込んだりして。じゃあ勝負してみるかということで、印刷して定価500円で販売したのがバァフアウト!の最初です。92年に創刊準備号を出してレコード屋さんや本屋さんに手持ちで納品して売ってもらったんですけど、運良く完売したので印刷代が支払えて次の号を出すことができたんです。ちょうど会社で働き始めたころだったから、昼間の仕事が終わったら友達の家に直行して夜に編集作業をするという日々でした。

−−−会社にいるときもいずれはそちらで起業されたいと?

そんな気持ちでやっていたと思います。

−−−「仕事は作る」と考えていましたか?

最初からそんなに高い志があったわけでもなく、当時は将来についてもあまり真剣には考えていなかった気がしますね。「雑誌が好き!」っていう、その想いだけで今まで生きてきちゃったから、他のことができないというか。自分ができることをやっているだけなんです。起業家として成功することとか、会社を大きくすることにも興味がないし。ここまで読んでいただいて、こんなこというのも申し訳ないのですけれど。

−−−大学以前からも雑誌が好きだったのでしょうか?

小学校5年の頃から小遣いの全てを雑誌につぎ込んでいました。『ポパイ』、『BE-PAL』、『PUMP』、『写楽』…興味のある雑誌を買い漁って。雑誌にかかわる仕事を将来やるんだろうなと大学生くらいまで暢気に思っていて、だからといってマスコミを目指すとかではなく、すでに自分の好きな雑誌を作り始めてしまっていたから、じゃあそれで生きていくかと。今思えば無謀だったと思いますが。真剣に将来設計とかについて考えていたら普通できないですよね。なにも考えてないからできたんでしょう。

−−−じゃあ、ある意味夢が叶って?

ええ、いまの生活が楽かどうかは別として、好きなことを仕事にできているかどうかと言えば、それは叶っているのかも知れませんね。でも、スペクテイターをつくることが「仕事」かどうかは、正直いまでも良くわからないんです。製品を売って代金を頂いているわけだから「仕事」には違いないとは思うけど、好きなことが生きる手段になっちゃったというか、スペクテイターや雑誌のおかげで生きてこれたというような感覚というか。だから儲けるためにやっているわけじゃないという意識もどこかにあると思います。
でも、それじゃあダメだよなと思っている自分もいて。スペクテイターが若い書き手の表現の場として存在し続けるためには、ソロバンも叩かないといけないし、営業活動もしていかなければいけない。これからの僕の役割はそういう仕事をすることじゃないかと考えていますね。

−−−今後の目標はありますか?

単純に面白いコンテンツ、良いと言われる本を沢山つくりたいってことですかね。みなさんはどうなんですか? 目標とか事業計画とか考えていますか?

−−−僕はないですね。アシスタントをいっぱい雇って、大きいデザインの仕事をしてっていうのはなくて。(大西)

やっぱり、そういう気持がある人とない人がいるんだよね。良いものを作りたいという想いに、お金がついてくれば最高だし、会社を大きくすることに充足感を感じる人は、それはそれで幸せだろうし。自分に嘘をつかずに全力で情熱を傾けることのできる仕事に誰もが就けたら良いですよね。僕は誰もがそこを目指せると考えているんです。どうせ無理だと決めつけたり、無理な売上げを設定したりせずに、自分のできる範囲で焦らずやろうとすれば実現できるんじゃないかと。

−−−僕は、BEYOND WORKINGの企画。本業は別にありますが、その仕事が100%面白いかっていうとそうじゃないこともたくさんあります。ですが、今はこのメディアを運営していくという、お金が第一じゃない仕事も始まって。今はこの二つをバランスよく出来るスタイルで仕事ができればいいかなと思っています。(山口)

そうだよね。楽しいことを始めようとしているんだもんね。

−−−社会貢献というのは大げさですけど、嘘のないメディアを発信できないかなと思っていました。今はそのスタート地点です。

自分のメディアを持つということは、あたらしい乗り物に乗って旅をはじめるようなものだと僕は思うんです。
それを維持していくのは大変だけど、何年も続けていくと、きっと予想外の結果や出会いと巡り会える。僕たちも10年続けてきたからこそ出会えた人や体験できたことが沢山あるんです。街で会った見ず知らずの人から「3年前から読んでます」と言われたりすると、言葉で説明するのはむづかしいけど、ダイレクトに伝わってくるものがあって、それはすごく励みになるんです。実際スペクテイターのおかげで色んなところに旅することができたし、おまえのおかげで良い旅をさせてもらってるぜという気持ちになってくる。

−−−子供の様な?

そうですね。10年もつきあっていると自然とそういう気持ちにもなるし、そういう存在と出会えたことは幸せだし、この先も長くつきあっていけたらいいなと思いますね。
だから、このメディア(Beyond Working)も長く続けられるといいですね。無理をしないで、マイペースで、とにかく続けてみると良いことがあると思いますよ。
−−−ありがとうございました。
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写真提供:青野利光さん

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